初めてパン作りをすると聞きなれない言葉がたくさん出てきます。
知らなくてもパンは作れますが、知っておくとよりおいしく上手にパンを焼く手助けになるかもしれません。
今回は、そんなパンの専門用語をまとめました。
あ行
イースト
イーストはもともと自然界にある酵母のこと。
パン作りにおいては、パン専用に膨らみやすいよう調整された酵母のことを指します。
イーストの種類は【生イースト】【ドライイースト】【インスタントイースト】の3つ。
甘みが強いかどうかでイーストの使い分けをするとよりおいしいパンができますが、初めてなら【インスタントイースト】で十分だと思います。
どのパン生地にも使えるし、どこでも手に入れやすい。
何よりそのまま生地に混ぜるだけという手軽さがいいですよね◎
オーバーナイト
パン生地を一晩ほど冷蔵庫に入れてゆっくり時間をかけて発酵させること。
低い温度である冷蔵庫内なら発行のスピードもゆっくりになるので、一晩という長時間そのまま置いておいても問題はありません。
自宅でパン作りをする際も、生地のこねあげまで前日にやっておき発酵はオーバーナイトでおこなえば、翌朝は分割からパン作りがスタートできます。
忙しいけれど毎朝焼きたてのパンを食べたいという人におすすめの方法です。
か行
ガス抜き
一次発酵やベンチタイムで膨らんだパン生地から中のガスを外に逃がすこと。
余分なガスを逃がすことで、ふくらみの良いキメの整ったパンになります。
せっかく膨らんだ生地をぎゅっと押すのは勇気がいりますが、適切に発酵させた生地はガス抜きをしても十分膨らみます。
おいしいパン作りに欠かせない工程なので、省略しないでおこないましょう。
過発酵
パン生地を発酵させすぎた状態のこと。
過発酵になった生地は膨らみが悪くなるだけでなく、酸味やアルコール臭が出て味の面でもおいしくありません。
一度過発酵になった生地は元に戻せないので、パン作りにおいて発酵状態を見極めるのはとっても重要です!
釜伸び
パン生地がオーブンの中でぐっと膨らむこと。
パンは焼き始めの10分ほどで一気に膨らみます。
ですので、最初の段階でオーブンが十分に温まっていないとパン生地が釜伸びせずに思ったより膨らまないなんてことも…。
釜伸びを手伝うためにも、オーブンの予熱はしっかり・焼き始めはオーブンを開けないことを死守しましょう。
吸水率
パンを作る際に粉に対してどれだけの水分を加えるか、その割合のこと。
パン作りでは強力粉を主に使いますが、強力粉の種類によって吸水率は変わります。
外国産の小麦粉は吸水率が高く、国産の小麦粉は低いものが多いです。
ですので、【はるゆたか】や【春よ来い】を使ってパンを作るなら、粉に対しての水分量を少なめにするのが基本。
生地がべたつくのを防げます。
クープ・クーペ
クープはパンを焼く前に生地の表面に切れ目を入れること。
主にバゲット(長いフランスパン)やカンパーニュ (丸いフランスパン)に入れます。
クーペは1本切れ目が入ったフランスパンのことです。
クープはパン生地を膨らませたり生地の中に火を通す役割があります。
主にフランスパンにクープを入れるのはフランスパンがそのままだと膨らみにくく火が通りにくいパンだから。
菓子パン生地でクープを入れることはほとんどないでしょう。
見た目を華やかにするために飾りとしてクープを入れることも♪
クラスト・クラム
クラストはパンの皮・クラムはパンの中身のこと。
クラストとクラムの食感の差が大きいのはフランスパンですね。
外側がパリッとしたクラストともっちりしたクラムがフランスパンでは成功とされています。
グルテン
小麦粉に含まれるたんぱく質が水分とくっついて混ざることで生まれる成分のこと。
グルテンは、小麦粉+水を混ぜれば混ぜること生まれて、生地にねばりを出します。
パン作りにおいてはふわふわモチモチモチの食感を出すためによく生地をこねることが大事。
反対にサクッとした食感を出したいクッキーなどは、できるだけグルテンが生まれないように気をつけながら作ります。
ケーブイン(腰折れ)
焼いたパンの側面がへこんでパンが変形すること。
食パンのような高さのあるパンでケーブインはよく見られます(シフォンケーキでもよくある失敗のひとつですね)。
人間でいうと腰のあたり(体の中心部)がぐにゃっとなっている様子から【腰折れ】と言うことも。
パン生地の水分量が多かったり、生地を焼く温度が低いとケーブインが起こりやすいです。
酵母
もともとは自然界のありとあらゆるものに生息する微生物のこと。
パン作りにおいては、糖分や水分とくっついてパン生地を発酵させる働きのあるものを酵母と言います。
ですのでイーストも酵母のひとつなんですね。
天然酵母製法とは、自然界に生息する酵母を使ってパン生地を発酵させること。
自家製酵母は、レーズンやりんごといった果実から天然酵母を培養して手作りすること。
手間も時間もかかりますが、他と差別化をはかれる・パンに深い味わいが出ることから自家製酵母でパン作りを行う人も多いです。
さ行
サワー種
自家製天然酵母のひとつ。
独特の酸味と風味があるのが特徴で、一般的にライ麦パンが酸っぱいと言われているのはサワー種を使って生地を膨らませているためです。
焼成率
パン生地を焼いたときにどのぐらい重量が減るか、その割合のこと。
パンは焼くことで中の水分が飛ぶので、必ず焼く前とあとで生地重量が変わります。
生地重量の変化によって、パンがきちんと焼けているか・焼きすぎて(水分が飛びすぎて)パサパサになっていないかを判断する目安にもなっています。
焼く前の生地の重量と焼きあがったパンの重量を計ることで焼成率が出せます。
- パンの種類ごとの焼成率の目安
- フランスパン :22%
ドイツパン:13%
イギリスパン:12%
食パン:8%~10%
菓子パン:10~15%
すだち
焼きあがったパンを切ったときに断面に見える気泡のこと。
一般的に食パンや菓子パンはすだちが小さい・少ない方がいいとされていますが、反対にフランスパンではすだちが大きいほど成功とされています。
ストレート製法
材料を一度に混ぜて生地を作ること。
- 材料を混ぜてこねる
- 一次発酵
- 分割・丸め
- ベンチタイム
- 成形
- 二次発酵
- 焼く
焼きあがったパンが老化しやすいというデメリットはありますが、パン作りにおいて基本の作り方で、一番手間も時間もかかりません。
な行
中種製法
小麦粉・水・酵母を発酵させた中種を作ってから残りの材料と混ぜて生地を作ること。
- 中種を作って発酵させる
- 残りの材料と混ぜてこねる
- 一次発酵
- 分割・丸め
- ベンチタイム
- 成形
- 二次発酵
- 焼く
手間はかかりますが、時間が経ってもふわっとやわらかいパンに仕上げることができるのがメリットですね。
は行
火ぶくれ
パンを焼いたときぶつぶつとした気泡ができる状態のこと。
冷蔵庫や冷凍庫で生地を冷やしすぎたことで生地が傷んでしまうと火ぶくれが起きてしまいます。
低温で長時間じっくり発酵させるフランスパンは火ぶくれが起きやすいパンと言えるでしょう。
フランスパン
材料が【小麦粉・水・塩・酵母】の4つだけで作られたパンのこと。
バゲットやバタール、カンパーニュなどは全てフランスパンの一種です。
クラスト(皮)をパリッとさせるために、焼くときにたっぷりのスチームをあてるのもフランスパンならではの製法ですね。
ベーカーズパーセント
パンの材料で、粉を100%にしたときのそのほかの材料の割合のこと。
粉に対して塩はこれだけ、イーストはこのくらいと一般的な目安はありますが、ベーカーズパーセントは作り手によって変わるので「これが正解」というものはありません。
ホワイトライン
焼いた食パンの上部の角にできる白い線のこと。
生地の発酵がうまくいったときの目安になるもので、おいしい食パンの証拠とも言われています。
ま行
モルト
麦芽のこと。
パンにきれいな焼き色を付けるために使います。
シンプルな材料だけで作られるフランスパンはなかなか焼き色がつきにくいので、モルトパウダーやモルトシロップを加えて焼き色をつけることがあります。
ら行
ライ麦パン
イネ科の植物であるライ麦を使って作られたパンのこと。
ドイツパンは小麦粉を使わずにライ麦100%だけで作られるものが多いです。
ライ麦は栄養価が高いので、今ライ麦で作ったパンが注目されているんですよ◎
リッチ・リーン
リッチとは油脂や砂糖などがたっぷり入ったパンのこと。
リーンは小麦粉・塩・水・酵母といった最低限の材料だけで作ったシンプルなパンのこと。
リッチなパンの例 | リーンなパンの例 |
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ブリオッシュ | フランスパン |
デニッシュ | ライ麦パン |
クロワッサン | フォカッチャ |
パネトーネ | プレッツェル |
ポンデケージョ | ベーグル |
老化
焼き上がりから時間が経って生地がパサパサしたり固くなったパンのこと。
パンをふわふわモチモチにするグルテンは温度が冷めると固くなるのでどうしても老化は避けられません。
しかし、再び加熱すればグルテンは糊化(α化)してモチモチになります。
老化したパンは電子レンジやオーブンで温めて食べるといいでしょう。
パンの専門用語まとめ
パンには数多くの専門用語が存在します。
そのすべてを一度に覚えるのは大変ですが、パンを作っていくうちにひとつずつ覚えていけば大丈夫!
今よりももっとパンに親しみがわいて、さらにパン作りもはかどると思います^^