『古代小麦』と呼ばれ、最近話題のスペルト小麦。
パン屋でもスペルト小麦を使ったパンを見かけるようになってきました。
とはいえ、まだまだなじみのないスペルト小麦。
それに加えディンケル小麦なんてものも出てきたら、いったい何がなんだか分からないのが正直なところですよね。
ディンケル小麦とスペルト小麦の違いは何なのでしょうか?
そこで今回は、ディンケル小麦とスペルト小麦の違いやスペルト小麦の特徴についてまとめました。
ディンケル小麦とスペルト小麦の違いは?
ディンケル小麦とスペルト小麦はどちらも同じもの。
ディンケル小麦とスペルト小麦の違いは呼び方だけです。
スペルト小麦 | 英語(Spelt) |
ディンケル小麦 | ドイツ語(Dinkel) |
スペルト小麦はもとはヨーロッパ各地で主食になっていた小麦で、徐々に世界各地に広まっていきました。
結果、国の分だけ呼び方が増えたというわけです。
ちなみにフランス語では【ファッロ小麦】と呼ばれています。
名前が違うと「どう違いがあるの?」と思いますが、全て同じものを差しているんですね。
スペルト小麦と全粒粉って何が違う?
スペルト小麦はその栄養価の高さから全粒粉の仲間であると思っている人もいるかもしれません。
これは半分正解で半分間違い。
スペルト小麦は使い方次第で全粒粉にもなりえるためです。
私たちに最も馴染みのある白い小麦粉は、小麦の表皮と胚芽部分を取り除いたもの。
全粒粉とは表皮と胚芽部分を取り除かず、小麦を丸ごと粉末にしたもののことを言います。
つまり、スペルト小麦を丸ごと粉末にすればそれは全粒粉になるというわけなんですね。
スペルト小麦で作ったパンは独特の風味と色味がつきますが、それが全粒粉で作ったパンと似ているため「同じものかな?」と思うのかもしれません。
スペルト小麦の特徴
スペルト小麦は、私たちの身近にある食パンや菓子パンなどを作るときに使う小麦粉の原種。
【古代小麦】と呼ばれているのは、9000年も前から栽培されているためです。
(ちなみに、古代小麦の仲間として他にエンマー小麦・アイコーン小麦があります)
そんなスペルト小麦の大きな特徴を3つ紹介していきます。
- 人工的な品種改良がほとんど行われていない
- パン作りでは捏ねる必要がない
- 独特の風味がある
人工的な品種改良がほとんど行われていない
小麦やお米など私たちの生活に欠かせない農作物は、人間が栽培しやすくなるよう品種改良が行われているのが一般的。
ですが、スペルト小麦は人工的な品種改良がほとんど行われていません。
9000年前に栽培されていたものとほぼ同じものを今私たちも食べられると思うと、なんだかロマンを感じちゃいますね^^
また、スペルト小麦の皮殻は非常に厚く、農薬や化学肥料に頼らずとも自然と外敵から中身を守る力があります。
スペルト小麦は、人工的な品種改良をせずとも9000年前から生き残る力を持っている強い小麦と言えるでしょう。
皮殻が固い分大量に製粉化することが難しかったスペルト小麦。
なかなか一般的に出回る小麦粉ではなかったのですが、ここ最近では製粉機の性能も上がり、大量に製粉できるようになりました◎
パン作りでは捏ねる必要がない
パン作りに限定した話になるのですが、個人的にも驚いたのがこちらの特徴。
一般的に、パン作りでは小麦粉と水を合わせたあとはグルテンを作るためしっかりと捏ねることが必須でした。
捏ねれば捏ねるほどグルテンが形成され、ふわふわのおいしいパンになると言われているんですね。
それに比べて、スペルト小麦を使ってパンを作る場合は捏ねる作業はほとんどする必要がありません。
スペルト小麦は一般的な小麦粉とは違う性質を持っており、粉と水を合わせて5分ほど置いておくだけでグルテンが形成されるんです。
「捏ねる手間がかからないなんて、楽にパンが作れそう!」と思いますよね。
確かに捏ねる労力はかかりませんが、スペルト小麦で作ったパン生地はダレやすいのが特徴。
いつものパン作りと同じように作ると「思ったよりパンが膨らまない…」なんてことが起きやすいんです。
スペルト小麦でパンを作るのであれば、水加減や成型など、スペルト小麦に合わせて調整しなければいけません。
独特の風味がある
スペルト小麦は、ポリフェノール由来のナッツのような香ばしい風味を持っています。
一般的な小麦粉では味わえない、独特の風味とほのかな甘みがスペルト小麦の人気の理由のひとつ。
「生地だけの状態が一番おいしい」なんて言う人もいるくらいです。
パン作りやお菓子作りでスペルト小麦を使うときは、その風味を生かしたシンプルなレシピがおすすめです^^
スペルト小麦の通販情報
スペルト小麦はアマゾンや楽天など大手通販サイトでも販売されるようになってきました。
製菓用品店の富澤商店では、ドイツ産のスペルト小麦(ディンケル小麦)と国産のスペルト小麦を取り扱っています。
スペルト小麦だけでなく、小麦は栽培される土地によって風味や使用感が変わるもの。
それぞれ使い分けて自分好みのスペルト小麦を見つけるのも楽しいですね◎
スペルト小麦の全粒粉を探している人には『ふたごや農園』もおすすめ。
毎年その年に収穫できたものが完売する人気ぶりです。
自宅にて製粉した引き立てのスペルト小麦の香りは別格です^^
ディンケル小麦とスペルト小麦は同じもの
ディンケル小麦とスペルト小麦の違いは、呼び方。
ディンケル小麦はドイツ語でスペルト小麦は英語であり、どちらも同じものを差しています。
以前はなかなか手に入らなかったスペルト小麦ですが、最近ではネット通販でも手に入りやすくなりました。
ぜひ一度スペルト小麦を使ってパンやお菓子を作ってみてください。
独特の風味に夢中になるはずです^^
関連記事:スペルト小麦のパンが膨らまない原因は?ふくらませるためのポイントについても