
パンを語るうえで欠かせない言葉のひとつがハード系ということ。
ハード系パンというと『何となく固いパンのこと?』という認識はあるけれど、具体的にどんなパンのことを指すのかいまいち分からないもの。
ハード系パンとはどういうパンなのか、どんな種類があるのか知っておくとパンを選ぶとき・作るときに迷わずに済みます。
そこで今回は、ハード系パンについて、種類や特徴をまとめました。
ハード系パンとは

- クラスト(皮)が固くクラム(中身)との食感に違いがあること
- 基本材料が小麦粉・酵母・塩・水とシンプルなこと
ハード系パンには2つの特徴があります。
ハード系パンとはずばり固くて噛み応えのあるパンのこと。
基本的な材料は【小麦粉・酵母・塩・水】の4つで、生地をふんわりやわらかくするような油脂や砂糖などは入っていません。
その分、焼いたときクラスト(皮)がパリッとしてクラム(中身)はもっちりとした食感の違いが生まれます。
材料がシンプルな分、小麦のうま味や香りがしっかり味わえるのが特徴。
単体で食べることもありますが、食事と一緒に楽しむことも多いですね。
ちなみに、パンはハード系の他にセミハード系・ソフト系と3つの固さに分けることができます。
私たちが普段よく食べている食パンは材料こそシンプルですがセミハード系(ソフト系に分類する人もいます)、あんパンや調理パンなどはソフト系パンになります。
ハード系パンに分類されるパン
ここからはハード系パンに分類されるパンを6つ紹介します。
- バゲット
- ブール
- シャンピニオン
- カンパーニュ
- エピ
- ライ麦パン
バゲット

ハード系パンに代表されるものがバゲットではないでしょうか。
同時にフランスパンの代名詞ともなっているバゲットは、細長い形が特徴。
同じような形のバタールやパリジャンとの見た目の違いや特徴はこちら↓
バゲット | ・細くて長い ・フランスの家庭では最も食べられている |
バタール | ・バゲットとパリジャンの中間ほどの長さ ・太い分クラムの部分が多く食べやすいので日本で人気がある |
パリジャン | ・バゲットとバタールの中で一番直径が太い |
パリッとしたクラストの食感が好きならバゲットやパリジャン、モチっとしたクラムの食感が好きならバタールという風に好みによって選んでみてください。
ちなみに、モチっとした食感が好きな日本人の好みに合わせて、日本のパン屋ではバタールが置いてあることが多いです。
ブール

フランス語で【ボール】の意味を持つ名前の通り、まん丸で大きなボールのような形をしているパン。
バゲットのように長く成形せず丸く生地を成形することで、クラムの部分が多くなりハード系パンの中でも割とふわふわの食感です。
厚めにスライスして食べるのが定番ですが、その丸い形を生かして中身をくり抜きシチューを入れる食べ方も!
特別な日のおもてなしメニューにぴったりですね。
個人的には角切りチーズをたっぷり生地に練り込んだチーズブールが食べ応えがあって大好きです^^
シャンピニオン

帽子をかぶったかのような独特な形がおもしろいシャンピニオン。
フランス語で【きのこ】という意味を持ちます。
独特な形は上のかさの部分と下の部分で違った食感を楽しむため。
生地はどちらもハード系パンで同じなのですが、一方は丸く成形、もう一方は生地を麺棒で伸ばして成形します。
こうすることで、丸く成形したほうはふわふわ・麺棒で伸ばしたほうはカリっとした食感に。
1つのパンで2つの食感を楽しめるなんてなんだかお得なパンですよね♪
カンパーニュ

カンパーニュにはフランス語で【田舎】という意味があります。
フランスの田舎から首都パリに発展していったことからこの名前がついたそう。
全粒粉やライ麦粉を使っていることが多く、どことなく素朴な見た目は田舎のような安心感があります。
また、カンパーニュと言えば表面についたしま模様が印象的ですよね。
生地を発酵させるときにカゴを使うことで独特のしま模様がつきます。
しま模様のカンパーニュはグッと惹かれるものがありますが、カゴがなくてもカンパーニュは作れるのでぜひ手作りにチャレンジしてみてください!
エピ
エピという名前には【麦の穂】という意味があり、パンの見た目がそのまま名前になっていることが分かります。
穂が開いたような形は、ハード系パン生地を細長く成形したあとにはさみで切り込みを入れて開いて作ります。
一見簡単そうですが、バランスよく切って開くのは結構大変で。
エピは作る人によって形が変わればその分食感も変わって、奥が深いパンだなと思います。
ベーコンを入れたベーコンエピが定番ですが、長いウインナーを入れたものや最近ではチョコレートを入れた甘いエピなんてのもありますね。
穂の部分をちぎって食べられるので、みんなでシェアするのにぴったりなパンです。
ライ麦パン
バゲット・ブール・シャンピニオン・カンパーニュ・エピは全てフランスで生まれたパンですが、ライ麦パンの発祥はドイツ。
小麦粉の栽培が難しかったドイツでは代わりにライ麦を使ってパンを作る必要があり、今ではドイツだけでなくオーストリアやロシアなど世界中で食べられています。
ライ麦パンの特徴はどっしりした食感と酸味。
これは、ライ麦にパンを膨らませるためのグルテンが含まれていないこと・イーストの代わりに酸味のあるサワー種を使用することが関係しています。
フランスパンのようにクラストとクラムの違いはあまりありませんが、ライ麦パンもハード系パンに分類されるんですよ。
ライ麦100%で作られるものもあれば、ライ麦に小麦粉をブレンドして作られるものもあります。
ライ麦の比率が少ないほど普段のパンに近く食べやすくなるので、まずはライ麦比率50%のミッシュブロートと呼ばれるライ麦パンから始めてみるといいでしょう。
ハード系パンまとめ
ハード系パンとは、シンプルな材料で作られて固めの食感のパンのことを指します。
シンプルな味わいだからこそ普段から食事の場でよく食べられて、生活に欠かせないパンになっているんですね。
ハード系パンは作り方や小麦粉の種類で味わいもぐんと変わります。
いろいろなお店のハード系パンを食べ比べるとその違いを楽しめますよ^^