フランスパンはなぜ固い?日本とフランスの違いを調査

フランスパンはなぜ固い?日本とフランスの違いを調査

パリっとした外側の皮ともっちりした中の生地の食感が楽しいフランスパン。

噛めば噛むほど小麦のうま味があふれて「パンの中で一番フランスパンが好き」という人も多いですよね!


その一方、「フランスパンは固くて食べにくい」という理由であまり食べないという人も。

ふわふわの食パンや菓子パンが好きな人からしたら「なんでわざわざ固くするの?」と思うのかもしれません。

確かにふわふわのパンのほうが食べやすく万人に好まれそうなのに、フランスパンはなぜ固いのか気になります。

調べてみると、フランスパン発祥の地であるフランスの気候が関係していることが分かりました。


そこで今回は、フランスパンはなぜ固いのか、日本とフランスにおけるフランスパンの違いについてまとめました。

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フランスパンはなぜ固い?

フランスパンはなぜ固い?

フランスパンが固いのは、材料に卵・砂糖・油脂(バター類)が入っていないから。

フランスパンは【小麦粉・酵母・塩・水】のみで作られています。

生地をやわらかくする役割を持つ卵や砂糖、バターを一切入れずに作っているので固いんですね。

フランスパンはリーンなパン

卵や砂糖、バターをたっぷり使ったパンはリッチなパンとも呼ばれ、生地のきめが細かくしっとりとやわらかい食感になります。

日本で好まれて食べられている菓子パンなんかはリッチなパンですね。


反対に、フランスパンのように基本的な材料だけで作られたシンプルな生地はリーンなパンと呼ばれています。

焼くと生地に気泡が入るのが特徴で、皮がしっかりとしており噛み応えのある食感になります。

フランスパンを作る時に卵や砂糖を入れない理由

フランスパンはフランス発祥のパン。

フランスでは【小麦粉・酵母・水・塩】の4つの材料で作られたパンだけがフランスパンとして認められます。

ちなみに

  • フランスパンという名前は日本だけの呼び名

フランスではバゲットやバタールと言う風に、フランスパンの形状によって細かく呼び名を変えています。

なぜフランスでは【小麦粉・酵母・水・塩】だけでパンを作るのが主流になったのでしょうか。

その答えは、フランスの気候や土壌に関係があります。


小麦粉の原料である小麦は、育つ環境によって風味や性質、含まれるグルテンの含有量も大きく変わります。

フランスで採れる小麦粉はもともとのグルテンの含有量が少ないものでした。

グルテンはパンが膨らむために欠かせないもの。

小麦粉の中のグルテンが酵母と作用して炭酸ガスを発生させることで生地を膨らませるからです。


グルテンが少ない小麦粉ではふっくらとやわらかいパンを作ることは難しい。

そこで小麦粉に合わせた生地作りをしようとして生まれたのが、【小麦粉・酵母・水・塩】だけで作る生地です。


グルテンが少ない小麦粉というと一見パン作りには向いていないようにも見えますが、フランスパンは当時のパン職人が「あるものでおいしいパンを作ろう」と工夫・努力して出来上がったパンなんですね。

固いフランスパンが広まったのはフランス皇帝によるもの?

「採れる小麦粉のグルテン含有量が少なく固いフランスパンを作るしかなかった」というのが当時フランスパンが作られるようになったきっかけですが、そんなフランスパンが全土に広まったのにあの有名な偉人が関係しているそうなんです。

その偉人とはかつてのフランス皇帝ナポレオン。

兵士たちのポケットに入れて持ち運べるように固いパンを作らせていたとか。


ナポレオンの好物だったと言われるパンに『グリッシーニ』というものがあります。

グリッシーニはイタリア発祥のパンですが、材料は【小麦粉・酵母・水・塩】の4つだけでフランスパンと同じ。

ナポレオンが固いパンを作らせていたというのは定かではありませんが、フランスパンと同じような固いパンであるグリッシーニを好んでいたことを考えると、実際にそうだったのかもしれないなと感じます^^

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フランスパンは日本と本場フランスで違いがある?

今ではさまざまな種類の小麦粉が流通するようになって、フランスでもグルテンの含有量が多い小麦粉が普通に買えるようになりました。

作ろうと思えばやわらかいふわふわ食感のパンも作れるのですが、それでもフランスではずっと固いフランスパンが主流になっています。


そもそもフランスでは、赤ちゃんの歯固めにフランスパンを使うほど幼いころからフランスパンが身近な存在。

フランスパンを食べなれているので「固い」と思いません。

固いものが好きなフランスの人達

例えば、フランスパンの端っこの丸い部分。

特別固くて私は苦手なんですが、フランスではこの端っこの丸い部分が一番人気なんだそう。

フランスパンをスライスして食卓に出したとき、真っ先に端っこの丸い部分を取るのはマナー違反だと言われているというからおもしろいですよね^^

ふわふわモチモチの食感を求める日本の人達

パンを焼いたときの表面の食感や焼き上がりは気候や湿度によっても大きく変わります。

フランスに比べて湿度が高い日本では同じようにフランスパンを焼いたとしても、フランスで焼いたフランスパンとは食感が変わってきます。


また、日本ではふわふわモチモチの食感が好まれることから、日本のパン屋ではあえて少しやわらかめにフランスパンを作るところも多いです。

同じフランスパンの中でも、皮が薄く中の生地をより楽しめるバタールやブールが人気があるのも日本らしいですね。

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まとめ:フランスパンが固い理由は小麦粉・酵母・水・塩だけで作られているから

  • フランスパンは小麦粉・酵母・水・塩だけで作られていて、生地をやわらかくする卵や砂糖が入っていないため固い
  • もともとフランスではグルテンの含有量が少ない小麦粉しか採れずに、ふわふわのパンを作るのは難しかった
  • 日本のフランスパンはふわふわモチモチ食感が好きな日本人のためにやわらかめに作られていることも多い

フランスパンが固いのはシンプルな基本的な材料だけで作られているから。

ふわふわな菓子パンを食べなれていると最初は食べにくく感じるかもしれません。

しかし、噛むほど小麦の香りやうま味を感じられるフランスパン。

食べやすくアレンジされたフランスパンもいいけれど、一度は本場フランスのレシピで作られたものを食べてみて欲しいなと個人的に思います^^

関連記事:固くなったフランスパンを柔らかくする方法は?温め方とおいしい食べ方

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