
もっちりとむぎゅっとした食感が特徴のベーグル。
他のパンにはない弾力のある歯ごたえがクセになる人も多いパンです。
そんなベーグルですが、自宅でも作れるようにと数多くのレシピがあります。
どのレシピにも共通しているのは焼く前にベーグルを茹でる工程があること。
他のパンのレシピにはない工程なので、ベーグルはなぜ茹でるのか気になりますよね。
そこで今回は、ベーグルはなぜ茹でるのか、ベーグルを茹でるお湯にはちみつや砂糖を入れる理由についてまとめました。
ベーグルはなぜ茹でる?
ベーグルはなぜ茹でるか、その答えはベーグルの歯ごたえのあるもっちりむぎゅっとした食感を出すためです。
パンは小麦粉に含まれるグルテンと酵母菌が作用して炭酸ガスを発生させることで膨らみます。
二次発酵で膨らませたパン生地は、オーブンで焼くことで炭酸ガスがさらに膨張するのでよりふっくらとしたパンになるんですね。
しかし、オーブンで焼く前にベーグルを茹でることで、ベーグルの生地は下記のような変化が起きます。
- ベーグル生地が膨張する
- ベーグル生地が糊化(α化)する
ベーグルを茹でると起きる変化①ベーグル生地が膨張する
気体である炭酸ガスは熱を加えると膨張します。
オーブンによる外からの熱だけでなく、お湯の中に入れることでも同様です。
ベーグルを茹でるとオーブンで焼いたのと同じように生地は膨張して膨らむというわけです。
ただベーグル生地の中にためておける炭酸ガスの量は限られています。
熱を加えるといつまでも生地が膨らむわけではありません。
先に茹でて膨らませておいたベーグル生地はオーブンに入れてもさほど膨らまず、目が詰まったようなぎゅっとした食感になるのです。
ベーグルを茹でると起きる変化②ベーグル生地が糊化(α化)する
ベーグルの材料となる小麦粉にはデンプンが含まれているのですが、デンプンは水分量と温度によって状態を変えます。
- 水分量が多く温度が高い状態⇒デンプンはモチモチとしたやわらかい状態=糊化(α化)
- 水分量が少なく温度が低い状態⇒デンプンはパサつきのある固い状態=老化(β化)
ベーグルを茹でると、ベーグルのデンプンは糊化(α化 )してモチモチとしたやわらかい状態になります。
ここでポイントとなるのはベーグルを焼く温度。
デンプンの糊化は約60℃前後から始まるのですが、90℃前後で糊化は終わり、それ以上高温になるとモチモチとしたデンプンは個体に変化します。
レシピによって差はありますが、ベーグルをオーブンで焼く温度はだいたい200℃前後。
デンプンが糊化(α化)する温度を大きく超えるために、一度茹でたベーグルは生地表面が固くなります。
しかし、表面は固くなってこれ以上膨らまないとしても、ベーグル生地内ではまだ生地が膨らもうとする状態。
そのため、ぎゅっと詰まった弾力のある生地になるというわけです。
ベーグルを茹でるお湯にはちみつや砂糖なしでも作れる?
ベーグルのレシピを見ていると、お湯で茹でる際にはちみつや砂糖を一緒に入れているものがあります。
結論から申し上げますと、ベーグルを茹でるお湯にはちみつや砂糖を入れなくても問題はありません。
そもそも、ベーグルを茹でるお湯にはちみつや砂糖といった糖分を入れるのは2つの目的があるため。
- 濃い焼き色をつける
- 香ばしい香りをつける
2つの目的の中で重要なのは②の香ばしい香りをつけること。
ベーグル特有の香ばしさなのですが、実は香ばしい香りをつけるためには、はちみつや砂糖ではなく【モラセス】という糖蜜を使う必要があるのです。
ベーグルを茹でるお湯に【モラセス】を入れると、ベーグル表面についた糖蜜がオーブンで焼かれることで独特の香ばしい香りを出します。
はちみつや砂糖では【モラセス】を使ったときのような香ばしい香りは出ません。
ですので、個人的には【モラセス】がないのならはちみつや砂糖を使ってもあまり意味がないかな、と感じます^^;
確かに、はちみつや砂糖を入れたほうが多少焼き色が濃くつくのですが、それだけ。
焼き上がりの色付きにあまり差は感じられなかったので、私自身ベーグルを作るときにはちみつや砂糖は入れていません。
ベーグルを茹でるお湯にはちみつや砂糖を入れると生地が安定する・膨らみやすくなる、といったような役割があれば入れているのですが、そんな役割もないので…。
「はちみつや砂糖を入れるのはベーグルのツヤ出しのため」という意見もありますが、ツヤに関しては焼くときにシワがよらないように気を付けたほうがきれいに仕上がると思います。
シワが寄ってない表面がツルっとしたベーグルはそれだけできれいに見えますよ^^
ベーグルは茹でないでも作れる
ベーグル特有の歯ごたえのあるもっちり・むぎゅっとした食感はベーグルを焼く前に茹でることで生まれるもの。
とは言え、ただでさえ時間と手間のかかるパン作りで、お湯を沸かして生地を茹でるって結構大変ですよね^^;
そんな人のために、ベーグルを茹でないで作るというレシピがいくつかあります。

ポイントは焼く前にたっぷりと霧吹きで水をかけること。
そうすることでフランスパンのように生地の表面がパリッとして、中の生地との食感の対比が生まれます。
ベーグルほど弾力が強くないので食べやすいのがいいのですが、むぎゅっとした食感を期待すると少しがっかりしてしまうかも…。
目の詰まったむぎゅっとした食感はベーグルを茹でてこそなんですね。
まとめ:ベーグルを茹でるのは歯ごたえある食感にするため
- ベーグルを茹でるのは、歯ごたえのあるもっちりとむぎゅっとした食感を出すため
- ベーグルを茹でるお湯にはちみつや砂糖は入れなくても問題はない
他のパン作りにはない茹でるという工程。
このひと手間があるからこそベーグルには独特の食感が生まれます。
少し面倒かもしれませんが、焼きたてのベーグルが食べられるのも手作りならでは!
ぜひ作ってみてくださいね^^